Bリーグでは、毎シーズンの年間表彰式「B.LEAGUE AWARD SHOW」で、MVPや新人賞などさまざまな個人タイトルが発表されています。
そのなかでも少し特殊なのが、MIP(レギュラーシーズン最優秀インプレッシブ選手)。
単純な得点やアシストといった数字だけではなく、シーズンを通して強い印象を残した選手に贈られる賞です。
これまでには河村勇輝、並里成、川真田紘也、富永啓生らが受賞。2021-22シーズンには2選手が同時受賞した例もあります。
この記事では、Bリーグの歴代MIP受賞者を一覧にまとめるとともに、各シーズンの受賞者がどのような活躍を見せたのかを振り返ります。
BリーグのMIPとは?MVPとの違い
BリーグにおけるMIPの正式名称は「レギュラーシーズン最優秀インプレッシブ選手」です。
2025-26シーズンの公式選考基準では、レギュラーシーズンを通して、スタッツだけでなく試合内外での活動や活躍も含め、最も印象的だった選手を選出するとされています。
受賞者はヘッドコーチ、選手、メディアの投票によって決定します。
NBAのMIPとは意味が異なる
NBAにもMIPという個人タイトルがありますが、こちらは「Most Improved Player」の略称で、前シーズンなどと比較して大きな成長を遂げた選手を表彰するもの。
一方、BリーグのMIPは「Most Impressive Player」という意味で使われています。
つまり、必ずしも前年から大きく成績を伸ばした選手が選ばれるわけではありません。
新人選手やベテラン選手、すでにMVP級の活躍をしている選手も受賞対象となります。
MVPとの違い
MVPはレギュラーシーズンで最も優秀な成績を収めた選手を表彰するタイトルです。
一方、MIPでは個人成績に加え、シーズンを通した印象的な活躍や試合外での活動なども評価されます。
| 項目 | MVP | MIP |
|---|---|---|
| 正式名称 | 最優秀選手賞 | 最優秀インプレッシブ選手 |
| 主な評価対象 | レギュラーシーズンの競技成績 | 試合内外での印象的な活躍 |
| 個人成績 | 重要な評価要素 | 数字だけでは決まらない |
| 新人の受賞 | 可能 | 可能 |
| 同一選手の同時受賞 | 可能 | 可能 |
実際に2022-23シーズンの河村勇輝は、MVPとMIPの両方を受賞しています。
Bリーグ歴代MIP受賞者一覧
| シーズン | 受賞選手 | 受賞当時の所属 |
|---|---|---|
| 2016-17 | 表彰なし | ― |
| 2017-18 | 表彰なし | ― |
| 2018-19 | 柏木真介 | 新潟アルビレックスBB |
| 2018-19 | 五十嵐圭 | 新潟アルビレックスBB |
| 2019-20 | 田渡凌 | 横浜ビー・コルセアーズ |
| 2020-21 | 並里成 | 琉球ゴールデンキングス |
| 2021-22 | 古川孝敏 | 秋田ノーザンハピネッツ |
| 2021-22 | 中山拓哉 | 秋田ノーザンハピネッツ |
| 2022-23 | 河村勇輝 | 横浜ビー・コルセアーズ |
| 2023-24 | 川真田紘也 | 滋賀レイクス |
| 2024-25 | 瀬川琉久 | 千葉ジェッツ |
| 2025-26 | 富永啓生 | レバンガ北海道 |
※2018-19シーズンと2021-22シーズンは2選手が受賞。
MIPの表彰は2018-19シーズンから始まり、2025-26シーズンまで8シーズンにわたって実施されています。
特徴的なのは、必ずしもリーグの得点ランキング上位選手ばかりが選ばれているわけではない点です。
ベテラン選手の活躍、クラブの躍進を支えた選手、新人の鮮烈なデビューなど、受賞理由はシーズンによってさまざま。
MVPや新人賞とは異なる視点でBリーグの歴史を振り返ることができます。
2018-19|柏木真介・五十嵐圭(新潟アルビレックスBB)
MIPが初めて表彰された2018-19シーズンは、新潟アルビレックスBBから柏木真介と五十嵐圭の2選手が受賞しました。
当時の新潟は中地区優勝を達成。
ベテランガード2人がチームを支え、クラブにとって大きな成果を残したシーズンでした。
柏木真介
長年にわたり日本バスケットボール界で活躍してきたポイントガード。
シーホース三河などで積み重ねた経験を生かし、新潟でもチームを支えました。
五十嵐圭
日本代表経験も豊富なベテランポイントガード。
スピードを生かしたプレーとゲームコントロールで知られ、長く第一線で活躍してきた選手です。
MIPの初代受賞者が若手ではなく、ベテラン2人だったことは、この賞の性格をよく表しています。
2019-20|田渡凌(横浜ビー・コルセアーズ)
2019-20シーズンは、横浜ビー・コルセアーズの田渡凌が受賞しました。
田渡はアメリカでの大学バスケットボール経験を持つポイントガード。
横浜BCではゲームメークや得点面で存在感を発揮し、チームの中心選手の一人としてプレーしました。
このシーズンは新型コロナウイルス感染症の影響によってBリーグが途中終了となった年でもあります。
そうした特殊なシーズンにMIPを受賞したのが田渡でした。
2020-21|並里成(琉球ゴールデンキングス)
2020-21シーズンは、琉球ゴールデンキングスの並里成が受賞しました。
並里は独創的なパスやドリブル、試合の流れを変えるプレーメークを持ち味とするポイントガード。
琉球の攻撃を組み立てる中心選手として、西地区優勝に貢献しました。
得点だけでは測れないプレーの創造性や、観客の印象に残るプレースタイルも並里の魅力。
MIPという賞の特徴が伝わる受賞者の一人です。
2021-22|古川孝敏・中山拓哉(秋田ノーザンハピネッツ)
2021-22シーズンは、秋田ノーザンハピネッツの古川孝敏と中山拓哉が同時受賞しました。
秋田はこのシーズン、クラブ史上初のBリーグチャンピオンシップ進出を達成しています。
古川孝敏
日本代表経験を持つシューティングガード。
長年培ってきた得点力やシュート技術を生かし、秋田のオフェンスを支えました。
中山拓哉
ディフェンスや献身的なプレーを持ち味とするガード。
派手な個人成績だけでなく、チームに必要な役割を果たす選手として秋田の躍進に貢献しました。
この2人の受賞からも、MIPが単純な得点ランキングでは決まらない賞であることが分かります。
2022-23|河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)
歴代MIPのなかでも特に大きな実績を残したのが、2022-23シーズンの河村勇輝です。
このシーズンの河村は、横浜ビー・コルセアーズでレギュラーシーズン52試合に出場。
1試合平均19.5得点、8.5アシストを記録し、リーグ屈指のポイントガードへ成長しました。
さらに、個人タイトルでは以下の6冠を達成しています。
- レギュラーシーズンMVP
- レギュラーシーズンベストファイブ
- 新人賞
- アシスト王
- MIP
- ココロ、たぎる。賞
新人賞とMVPの同時受賞はBリーグ史上初。
横浜BCもチャンピオンシップ進出を果たし、河村の活躍がチームの躍進につながりました。
MVPとMIPを同時に受賞したことは、競技成績だけでなく、シーズン全体を通じて強い印象を残した証しとも言えるでしょう。
2023-24|川真田紘也(滋賀レイクス)
2023-24シーズンは、滋賀レイクスの川真田紘也が受賞しました。
川真田は211cmの長身を生かしたインサイドプレーに加え、明るいキャラクターでも知られるセンター。
2023年のFIBAバスケットボールワールドカップでは日本代表として出場し、日本のパリオリンピック出場権獲得にも貢献しました。
所属する滋賀は2023-24シーズンをB2で戦い、B2プレーオフを制してB1復帰を決定。
川真田にとっても、クラブにとっても印象的なシーズンとなりました。
2024-25|瀬川琉久(千葉ジェッツ)
2024-25シーズンは、千葉ジェッツの瀬川琉久が受賞しました。
東山高校から千葉Jへ加入した瀬川は、高校卒業直後からB1の舞台でプレー。
プロ1年目ながら積極的なプレーを見せ、将来を期待される若手ガードとして注目を集めました。
このシーズンの新人賞は琉球ゴールデンキングスの脇真大が受賞。
一方、MIPには瀬川が選ばれています。
新人賞とMIPが異なる選手に贈られたことも、両賞の評価基準の違いを示す結果となりました。
2025-26|富永啓生(レバンガ北海道)
2025-26シーズンのMIPは、レバンガ北海道の富永啓生が受賞しました。
富永は桜丘高校卒業後にアメリカへ渡り、レンジャー・カレッジ、ネブラスカ大学などでプレー。
NBA Gリーグのインディアナ・マッドアンツを経て、2025-26シーズンからレバンガ北海道に加入しました。
Bリーグ参戦1年目から、全60試合に先発出場。
主なレギュラーシーズン成績は以下のとおりです。
| 項目 | 成績 |
|---|---|
| 出場試合数 | 60試合 |
| 平均得点 | 19.5 |
| 平均リバウンド | 2.5 |
| 平均アシスト | 2.5 |
| 平均スティール | 1.0 |
| 3ポイント成功率 | 35.6% |
平均19.5得点は、このシーズンのB1日本人選手最多。
さらに北海道はクラブ史上初のレギュラーシーズン勝ち越しを達成し、終盤まで上位争いを繰り広げました。
富永はチームの得点源として、その躍進をけん引。
Bリーグ参戦初年度から大きなインパクトを残し、MIP受賞につなげています。
歴代MIPから見えるBリーグの特徴
歴代受賞者を振り返ると、MIPには大きく分けていくつかの特徴が見られます。
ベテラン選手の存在感
初代の柏木真介と五十嵐圭、2021-22シーズンの古川孝敏など、長年活躍してきた選手も受賞しています。
若手の成長だけを評価する賞ではないことが分かります。
クラブの躍進に貢献した選手
2021-22シーズンの古川孝敏と中山拓哉、2022-23シーズンの河村勇輝、2025-26シーズンの富永啓生などは、所属クラブが大きな成果を残したシーズンに受賞しています。
ただし、チームの好成績そのものがMIPの受賞条件というわけではありません。
新人や若手も受賞対象
2024-25シーズンの瀬川琉久、2025-26シーズンの富永啓生は、ともにBリーグ参戦初年度に受賞しました。
また、河村勇輝は新人賞とMIPを同時受賞しています。
新人賞とは別の角度から、印象的な活躍を評価する賞と言えるでしょう。
まとめ
BリーグのMIPは、単なる成長率や個人成績だけでは測れない活躍を評価する個人タイトルです。
2018-19シーズンに始まり、ベテラン選手から新人まで幅広い選手が受賞してきました。
なかでも河村勇輝のMVP・新人賞・MIPを含む個人6冠、富永啓生のBリーグ参戦初年度での平均19.5得点は、歴代受賞者のなかでも印象的な実績です。
MVPがシーズンの競技成績を象徴する賞なら、MIPはそのシーズンの記憶に残る選手を振り返ることのできる賞。
今後もどのような選手が受賞するのか、注目していきたいところです。


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